
相続における不安を「安心」に変えるために
相続は、多くの方にとって一生に何度も経験するものではなく、「何から始めたらよいかわからない」といった不安や戸惑いを感じるものです。大切なご家族を亡くされた悲しみの中で、複雑な手続きや法律的な判断を迫られる。この精神的・肉体的な負担は、想像以上に大きいものです。
特に、相続税の申告においては、複雑な税制を正しく理解し、申告期限である相続発生後10か月以内に、正確な手続きを完了させる必要があります。この10か月という期間は、一見長いように思えますが、実際には様々な手続きや調査、協議などが必要となり、あっという間に過ぎてしまいます。期限を過ぎてしまうと、ペナルティが課されたり、適用できる特例が使えなくなったりと、不利益を被る可能性があります。
さらに、相続税の計算は非常に複雑です。財産の種類や評価方法、適用できる特例や控除、相続人の構成など、様々な要素が絡み合い、専門知識がなければ正確な申告は困難です。誤った申告をしてしまうと、後で税務署から指摘を受け、追徴課税や加算税を課されるリスクもあります。逆に、本来受けられる節税対策を知らずに、必要以上の税金を納めてしまうケースも少なくありません。
ご家族の想いを大切にし、圧倒的な節税対策と円満な相続の実現をサポートするためには、経験豊富な専門家の存在が不可欠です。相続の専門家は、単に税務手続きを代行するだけでなく、相続人間の調整役となり、法的なアドバイスを提供し、将来を見据えた最適な資産承継プランを提案します。
本記事では、経験豊富な税理士がどのように相続税申告をスムーズに進め、お客様の負担を最小限に抑え、最適な結果をもたらすのか、その具体的な流れと専門家が果たす重要な役割について、一つひとつ丁寧に解説いたします。初めて相続を経験される方でも、この記事を読めば、相続税申告の全体像が理解でき、何をすべきかが明確になるはずです。
1.スムーズな申告の第一歩—早期の情報把握と準備
相続税申告を成功させるための鍵は、早期の準備と情報把握にあります。相続が発生してから慌てて動き出すのではなく、できるだけ早い段階で全体像を把握し、計画的に進めることが重要です。
相続税が発生するかどうかを早期に把握する重要性
まず、相続税が発生するかどうかを早期に把握することが、スムーズな対策と節税の第一歩となります。実は、すべての相続に相続税が課されるわけではありません。相続税には基礎控除額というものがあり、遺産の総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税は発生せず、申告も不要です。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。例えば、相続人が配偶者と子供2人の合計3人の場合、基礎控除額は3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。遺産総額がこの4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。
しかし、遺産総額の計算は意外と複雑です。預貯金や不動産だけでなく、株式、生命保険金、退職金、貴金属、骨董品、ゴルフ会員権など、様々な財産が含まれます。さらに、生前に贈与された財産も、一定期間内のものは相続財産に加算されます。一方、借入金などの債務や葬儀費用は差し引くことができます。
相続税の計算は非常に複雑ですが、当事務所では、遺産総額と相続人の人数という基本情報が分かっていれば、おおよその相続税額を最短で翌日に無料でお伝えしています。この簡易計算を活用することで、どれくらいの税金がかかるかを早期に把握でき、安心して相続の準備を進めることが可能となります。
早期に相続税額の目安を知ることには、いくつかのメリットがあります。第一に、納税資金の準備ができます。相続税は原則として現金一括納付です。多額の相続税が発生することが分かれば、不動産を売却したり、生命保険を活用したりといった資金調達の計画を立てることができます。
第二に、節税対策を検討する時間的余裕が生まれます。相続税の節税対策には様々な方法がありますが、多くは時間をかけて準備する必要があります。早期に動き出すことで、より効果的な対策が可能になります。
第三に、心の準備ができます。漠然とした不安を抱えるよりも、具体的な金額が分かることで、心の整理がつき、前向きに手続きに取り組めるようになります。
申告期限までにすべきこと—時間との戦い
相続税の申告期限は、相続発生後10か月以内と定められています。この「10か月」は、被相続人が亡くなった日の翌日から数えて10か月後の応当日までを指します。例えば、1月15日に亡くなった場合、申告期限は11月15日となります。
この短い期間で、申告と納付を完了させるためには、専門家のサポートが必須です。なぜなら、10か月の間にしなければならないことは、想像以上に多いからです。
まず、相続人の確定が必要です。これには戸籍謄本の収集が必要で、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を取り寄せる必要があります。本籍地が複数回変わっている場合や、離婚・再婚がある場合など、戸籍の収集だけで数週間から1か月以上かかることもあります。
次に、相続財産の調査と確定です。預貯金は、すべての金融機関に残高証明書を請求します。不動産は、登記簿謄本や固定資産評価証明書を取得します。株式は、証券会社に残高証明書を請求します。これらの書類収集だけでも、相当な時間と手間がかかります。
さらに、財産の評価作業があります。特に不動産の評価は複雑で、路線価図を確認し、土地の形状や接道状況、利用状況などを考慮して評価額を算出します。この評価方法によって、税額が大きく変わることもあるため、慎重な検討が必要です。
遺産分割協議も、時間がかかるプロセスです。相続人全員が納得する分割案をまとめるには、複数回の話し合いが必要になることも珍しくありません。相続人が遠方に住んでいたり、意見が対立したりすると、さらに時間がかかります。
これらすべてを10か月以内に完了させるには、計画的かつ効率的に進める必要があります。経験豊富な税理士は、この10か月の間にすべき複雑な手続きを一つひとつ丁寧に説明し、優先順位をつけ、スケジュールを管理しながら、お客様が次のステップへ安心して進めるようご案内します。
専門家に依頼するもう一つのメリットは、手続きの漏れや誤りを防げることです。相続税の申告は、一度きりの大事な手続きです。後で「あの特例を使えば良かった」「この財産を申告し忘れていた」といった後悔をしないためにも、最初から専門家に相談することをお勧めします。
2.経験豊富な税理士によるスムーズな申告の7つの流れ
相続問題の解決から申告までの流れは、大きく7つのステップで構成されます。専門家が関与することで、これらのステップは迅速かつ正確に進められます。それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。
ステップ1:相続人の確定と遺産の方向性を定める
手続きの最初のステップは、相続人の確定です。相続人とは、法律上、遺産を受け継ぐ権利を持つ人のことです。民法では、相続人の範囲と優先順位が明確に定められています。
配偶者は常に相続人となります。配偶者以外では、第一順位が子供(子供が既に亡くなっている場合は孫)、第二順位が親(親が既に亡くなっている場合は祖父母)、第三順位が兄弟姉妹(兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は甥・姪)となります。
この相続人の確定には、戸籍調査が必要となる場合があり、特に相続関係が複雑な場合は重要性を増します。例えば、被相続人に離婚歴があり、前妻との間に子供がいる場合、その子供も相続人となります。また、認知した婚外子がいる場合も、相続人に含まれます。こうした事実は、戸籍を詳細に調査しなければ分からないことがあります。
相続人を確定せずに遺産分割を進めてしまうと、後で別の相続人が現れた場合、分割協議をやり直す必要が生じます。最悪の場合、既に行った相続税の申告も修正が必要になり、大きな手間と追加の税負担が発生する可能性があります。
また、この段階で、遺産を承継するのか、それとも相続を放棄するのかの意思決定(遺産の方向性を定める)を行います。相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産(借金など)も一切相続しないという選択です。被相続人に多額の借金がある場合などは、相続放棄を検討する必要があります。
相続放棄は、相続開始を知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。この期間は意外と短く、迅速な判断が求められます。借金の有無や金額を調査し、財産と比較して、相続すべきか放棄すべきかを判断しなければなりません。
限定承認という選択肢もあります。これは、相続したプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を支払う、という方法です。借金の総額が不明確な場合などに有効ですが、手続きが複雑で、相続人全員の同意が必要です。
この意思決定も、相続税申告の期限内に完了させる必要があります。専門家は、財産と債務の状況を調査し、相続すべきか放棄すべきか、あるいは限定承認を選ぶべきかについて、的確なアドバイスを提供します。
ステップ2:相続財産の確定—すべての財産を洗い出す
次に、故人様の残された相続財産の全てを確定します。財産には、預貯金、不動産、株式など様々な種類があります。これらを漏れなく把握することが、正確な相続税申告の前提となります。
預貯金については、すべての金融機関に残高証明書を請求します。被相続人が取引していた金融機関を把握するには、通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物などを確認します。複数の支店に口座を持っている場合もあるため、注意が必要です。
不動産については、固定資産税の納税通知書を確認することで、所有している不動産を把握できます。ただし、固定資産税が課税されない私道などは、通知書に記載されないため、別途調査が必要です。登記簿謄本を取得し、正確な地番、地積、権利関係を確認します。
株式については、証券会社に残高証明書を請求します。上場株式だけでなく、非上場株式(自社株など)がある場合は、その評価が特に重要になります。非上場株式の評価は複雑で、会社の規模や業種によって評価方法が異なります。
生命保険金や死亡退職金も、相続財産に含まれます。ただし、これらには一定の非課税枠があり、「500万円×法定相続人の数」まで非課税となります。保険会社や勤務先に問い合わせて、金額を確認します。
その他にも、自動車、貴金属、骨董品、ゴルフ会員権、貸付金、著作権など、金銭的価値のあるものはすべて相続財産となります。見落としがちなのが、タンス預金や貸金庫の中身、ネット銀行の口座、仮想通貨などです。
一方、マイナスの財産も確認が必要です。借入金、未払いの税金、未払いの医療費、クレジットカードの未払い分などは、債務として遺産総額から差し引くことができます。また、葬儀費用も一定の範囲で控除できます。
複雑になりがちなこれらの財産の手続きの進め方についても、経験豊富な専門家が丁寧にサポートします。どこに何を問い合わせればよいのか、どの書類が必要なのか、一つひとつ具体的に指示してくれるため、お客様は迷うことなく手続きを進められます。
ステップ3:財産評価の開始と節税対策の実施—税額を左右する重要プロセス
このステップは、申告結果と節税効果を左右する最も重要なプロセスです。相続税は、財産の評価額に基づいて計算されますが、財産評価の方法一つで、最終的な相続税額が大きく変動する可能性があります。
現地調査に基づいた正確な評価の実施
経験豊富な税理士は、机上の計算に留まらず、現地に足を運び、調査に基づいた財産評価を行います。特に、土地や建物の特性、立地、利用状況などを踏まえた正確な不動産評価を実施することが、適正な税額を導き出すために不可欠です。
不動産の評価は、原則として路線価方式または倍率方式で行われます。路線価方式では、土地が面している道路に付けられた路線価を基に、土地の面積や形状などを考慮して評価額を算出します。倍率方式では、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価します。
しかし、単純にこの計算式に当てはめるだけでは、適正な評価にならないことが多いのです。土地には様々な個別事情があり、それらを考慮することで、評価額を減額できる場合があります。
例えば、土地の形状が不整形(いびつな形)である場合、利用価値が下がるため、評価額を減額できます。間口が狭く奥行きが長い土地、三角形や台形の土地なども、減額の対象となります。
道路との接道状況も重要です。道路に接していない土地(無道路地)や、間口が極端に狭い土地は、大幅な減額が認められます。逆に、角地や二方向道路に面している土地は、利用価値が高いため評価額が高くなります。
高低差がある土地、地盤が軟弱な土地、騒音や振動の影響を受ける土地(線路沿いや幹線道路沿い)なども、減額の対象となります。また、都市計画法などの規制により、建築に制限がある土地も、その制限の程度に応じて減額できます。
こうした減額要因を見つけ出すには、現地調査が不可欠です。図面や資料だけでは分からない、実際の状況を確認することで、適正な評価が可能になります。
財産評価が節税につながる理由
現地の状況を詳細に確認することで、資料からは読み取れない、評価額を下げる要因を発見できることがあります。この財産評価の開始が、申告結果を左右すると言っても過言ではありません。
例えば、ある土地の評価において、図面上では平坦な土地に見えても、現地に行ってみると実は高低差があり、宅地として利用するには造成工事が必要だと分かるケースがあります。この場合、造成費用相当額を評価額から控除できます。
また、隣地との境界が不明確で、境界確定測量が必要な土地は、その費用相当額を控除できる場合があります。現地調査で初めて、境界標がないことや、隣地所有者とのトラブルの可能性があることが分かることもあります。
貸地や貸家建付地の場合、評価額が大幅に減額されます。土地を他人に貸している場合(貸地)は、借地権割合に応じて評価額が減額されます。自分の土地に建物を建てて賃貸している場合(貸家建付地)も、一定の減額が認められます。これらの減額を適用するには、実際の利用状況を現地で確認する必要があります。
小規模宅地等の特例も、非常に重要な節税対策です。この特例は、被相続人の居住用または事業用の宅地について、一定の要件を満たす場合、評価額を最大80%減額できるというものです。居住用宅地であれば330平方メートルまで、事業用宅地であれば400平方メートルまで、最大80%の減額が認められます。
この特例を適用するには、被相続人がどのように土地を使用していたか、相続人が引き続きどのように使用するかなど、詳細な要件を満たす必要があります。現地調査と詳細なヒアリングにより、この特例が適用できるかを判断します。
お客様の税負担を軽減するため、経験豊富な税理士は圧倒的な節税対策を実施します。法律で認められている範囲内で、あらゆる減額要因を探し出し、最大限の節税効果を実現します。これが、経験豊富な税理士と、そうでない税理士の大きな違いです。
ステップ4:遺産分割協議と円満な相続の実現—家族の絆を守る
財産評価が終わり、遺産の全体像が把握できたら、遺産をどう分けるかについて、相続人同士で協議を進めます。遺産分割協議は、相続人全員が納得できる形で進めることが、円満な相続の実現のために極めて重要です。
遺産分割協議が必要になるケースでは、戸籍調査の結果に基づいて進められますが、中には複雑なケースも存在します。例えば、Bさんの事例のように、義妹の存在が判明し、家庭裁判所での協議が必要になるなど、想定外の相続人が現れることもあります。
法定相続分という概念がありますが、これは法律が定める標準的な相続割合であり、必ずこの通りに分ける必要はありません。相続人全員が合意すれば、自由に分割方法を決めることができます。
遺産分割には、いくつかの方法があります。現物分割は、個々の財産をそのまま各相続人に分ける方法です。例えば、土地は長男、預貯金は次男、株式は長女、といった形です。シンプルですが、財産の価値が均等でない場合、不公平感が生じることがあります。
代償分割は、特定の相続人が財産を多く相続し、他の相続人に金銭で補償する方法です。例えば、長男が自宅と土地を相続し、次男と長女に現金を支払う形です。この方法は、不動産を分割せずに済むというメリットがありますが、代償金を支払う資金が必要です。
換価分割は、財産を売却して現金化し、それを分ける方法です。公平に分けられるというメリットがありますが、売却に時間がかかることや、売却費用・税金がかかることがデメリットです。
遺産分割協議では、各相続人の生活状況、経済状況、被相続人への貢献度、今後の財産の管理能力などを考慮して、最適な分割方法を決めます。特に、自宅不動産をどうするかは、大きな争点になることが多いです。配偶者が住み続けるのか、売却して現金化するのか、子供の誰かが相続するのか。それぞれにメリット・デメリットがあります。
専門家は、ご家族の想いを大切にした最適な資産承継プランを立てるサポートを行います。税務的な観点だけでなく、家族関係や将来の生活設計も考慮して、最も適切な分割方法を提案します。
また、遺産分割協議がまとまらない場合の調停や審判といった法的手続きについても、弁護士と連携してサポートします。相続は、金銭的な問題だけでなく、感情的な問題も絡むため、第三者である専門家が間に入ることで、冷静な話し合いが可能になることも多いのです。
ステップ5:各所手続きの支援—ワンストップ対応の威力
遺産分割協議が整ったら、預貯金、不動産、株式など、確定した財産に関する各所手続きを進めます。相続手続きは、それぞれの財産ごとに、異なる窓口で異なる書類を提出する必要があり、非常に煩雑です。
預貯金の名義変更には、各金融機関所定の相続手続き書類、被相続人の戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書などが必要です。金融機関によって必要書類や手続きの流れが異なるため、それぞれに確認しながら進める必要があります。
株式の名義変更も同様に、証券会社ごとに手続きが必要です。上場株式だけでなく、非上場株式がある場合は、発行会社にも連絡して手続きを進めます。
特に、不動産の名義変更(相続登記)は、正確かつ迅速な手続きが求められます。相続登記を放置すると、後々トラブルの原因となります。例えば、将来その不動産を売却しようとしても、相続登記がされていなければ売却できません。また、相続人の一人が亡くなると、さらに相続が発生し(数次相続)、手続きが複雑化します。
令和6年4月からは、相続登記が義務化されました。相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければ、過料(罰金)が科される可能性があります。早めの手続きが必要です。
当事務所のように、税理士だけでなく、弁護士や司法書士が連携するワンストップサポート体制を整えている場合、複雑な不動産登記の支援も含め、お客様は複数の窓口を回る負担なく、全ての手続きを安心してお任せいただけます。
司法書士と連携して進めることは、不動産関連の手続きを円滑化する大きなメリットです。登記に必要な書類の準備、法務局への申請、登記完了後の書類受け取りまで、一貫してサポートします。また、登記費用(登録免許税や司法書士報酬)についても、事前に明確に提示されるため、安心です。
このワンストップサポートにより、お客様は「何をどこに提出すればよいのか」と悩む必要がなく、専門家の指示に従って必要な書類を準備するだけで、すべての手続きが完了します。時間と労力の大幅な節約になります。
ステップ6:最適な税額計算と正確な申告書の作成—専門性の真価
ここが税理士の最も専門性を発揮する段階です。複雑な相続税制を正しく理解した上で、節税対策を踏まえた最適な税額計算を実施します。
相続税の計算は、以下のような複雑なプロセスを経ます。まず、各財産の評価額を合計し、債務と葬儀費用を差し引いて、遺産総額を算出します。次に、基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を計算します。
この課税遺産総額を、法定相続分で分割したと仮定して、各相続人の取得金額を計算します。それぞれに税率を適用して税額を算出し、合計します。これが相続税の総額です。
次に、この総額を、実際の遺産分割割合で按分して、各相続人の納付税額を計算します。ここで、各種の控除や特例を適用します。配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除などです。
特に、配偶者の税額軽減は大きな節税効果があります。配偶者が相続した財産のうち、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い方まで、相続税がかかりません。この特例を適用するには、相続税の申告書を提出する必要があります。
また、小規模宅地等の特例の適用により、土地の評価額が大幅に減額されることは、ステップ3で説明した通りです。これらの特例を最大限に活用することで、税額を大きく圧縮できます。
経験豊富な税理士は、計算ミスや申告漏れのない正確な申告書を作成し、お客様の申告における負担を最小限にします。お客様の負担を最小限にするとは、単に手続きの手間を減らすだけでなく、適用可能な特例や控除を最大限に活用し、税額そのものを適正化することを意味します。
また、二次相続(配偶者が亡くなったときの相続)も見据えた、最適な遺産分割のアドバイスも行います。一次相続で配偶者が多く相続すると、配偶者の税額軽減により一次相続の税額は少なくなりますが、二次相続で子供たちが支払う税額が増える可能性があります。一次相続と二次相続の合計税額が最も少なくなるような分割方法を提案します。
ステップ7:相続税の申告と納付—ゴールへの最終段階
最終的に、相続発生から10か月以内に、税務署へ相続税の申告を行い、納税手続きを行います。申告書は、被相続人の住所地を管轄する税務署に提出します。郵送または持参のいずれかの方法で提出できます。
相続税は、原則として現金一括納付です。申告期限までに、金融機関または税務署で納付します。相続人それぞれが、自分の納付税額を納めます。
納付資金が不足する場合は、延納(分割払い)や物納(不動産などで納める)という方法もありますが、厳しい要件があります。延納を選択すると利子税がかかりますし、物納は手続きが非常に複雑です。できるだけ現金納付できるよう、事前に資金計画を立てることが重要です。
迅速な対応は、お客様の不安を早期に解消します。Aさんのケースのように、遺産分割協議書・申告書の迅速な作成、納付、不動産登記までをわずか4か月で完了させる事例もあります。通常は6~8か月程度かかることが多い中、4か月での完了は驚異的なスピードです。
これは、最初から計画的に、効率的に手続きを進めた結果です。早期に専門家に相談し、必要な書類を迅速に収集し、遺産分割協議もスムーズにまとまったことで、このスピード対応が可能になりました。
申告後も、税務署から問い合わせや調査が入ることがあります。税務調査が入った場合も、申告を担当した税理士が対応しますので、安心です。適正に申告していれば、調査で問題が指摘されることはほとんどありません。
3.スムーズさを実現する専門家の強みとサポート体制
経験豊富な専門家によるサポートは、単に手続きを代行するだけでなく、お客様の不安を安心に変え、円満な相続を実現するためのものです。ここでは、専門家のサポート体制の具体的な強みを解説します。
専門家によるワンストップ解決の実現—複数の窓口を回る負担がゼロ
相続問題は、税務だけでなく、法律(遺産分割、遺言)や登記(不動産)など、複数の専門分野が絡み合います。それぞれの分野で別々の専門家に依頼すると、窓口が複数になり、連絡や調整の手間が増えます。また、専門家同士の連携が取れていないと、手続きに漏れや重複が生じる可能性もあります。
当事務所では、税理士・弁護士・司法書士が強力なチーム体制を築き、連携することで、相続に関するあらゆる問題をワンストップで解決できる強みを持っています。この連携により、お客様は複雑な手続きも安心してお任せいただくことができ、手続きがスムーズに進みます。
例えば、相続税の申告は税理士が担当し、遺産分割協議で法的な問題が生じた場合は弁護士が対応し、不動産の名義変更は司法書士が行う。すべてが同じチーム内で完結するため、情報の共有がスムーズで、お客様は一つの窓口に連絡すればすべての問題が解決します。
実際に、不動産の相続と遺言書の作成を依頼したお客様からは、「司法書士の方とも連携して進めてくださり、手続きがスムーズでした」という信頼の声が寄せられています。別々の事務所に依頼していたら、それぞれに同じ説明をして、書類も別々に準備する必要がありましたが、ワンストップサポートにより、その手間が省けたのです。
お客様に寄り添う誠実な対応と丁寧な説明—信頼関係の構築
相続は感情的な側面も伴うため、専門性だけでなく、誠実さが非常に重要です。大切な家族を亡くされた悲しみの中で、冷たく事務的な対応をされたら、心が傷つきます。当事務所は、専門性と誠実さを何よりも大切にし、お客様一人ひとりに寄り添った丁寧な対応を心がけています。
専門用語を使わない説明
複雑になりがちな相続手続きや専門的な内容も、専門用語を使わず丁寧にご説明する姿勢を重視しています。「被相続人」「法定相続分」「代襲相続」といった専門用語は、一般の方には馴染みがありません。こうした用語も、分かりやすい言葉に置き換えて説明します。
例えば、「被相続人」は「亡くなられた方」、「法定相続分」は「法律で決められた相続の割合」、「代襲相続」は「本来の相続人が既に亡くなっている場合に、その子供が代わりに相続すること」といった具合です。
また、図や表を使って視覚的に説明することで、複雑な相続関係や税額の計算過程も理解しやすくなります。お客様が納得し、安心して手続きを進められることを最優先に考えています。
初めて相続を経験される方でも「専門的な内容をわかりやすく説明してくれた」と、安心と納得のサービスを提供しています。「難しいことを難しく説明する」のではなく、「難しいことを分かりやすく説明する」ことが、プロの仕事だと考えています。
信頼関係の構築と迅速な解決
お客様との信頼関係を築きつつ、相続問題をスピーディーに解決することを目指します。相続の相談は、非常にプライベートな内容を含みます。家族構成、財産状況、家族間の関係性など、他人には話しにくいことも、すべて正直にお話しいただく必要があります。
そのためには、「この人になら話しても大丈夫」という信頼関係が不可欠です。初回の相談から、お客様の話を丁寧に聞き、共感し、寄り添う姿勢を示すことで、信頼関係を構築します。
また、レスポンスの速さも信頼につながります。質問や相談に対して、迅速に返答することで、お客様は「ちゃんと対応してくれている」と安心できます。放置されたり、連絡がつかなかったりすると、不安が募ります。
明朗な料金体系と初回無料相談の活用—費用への不安を解消
相続の相談を躊躇する理由の一つに、費用の不安があります。「相談したら高額な費用を請求されるのではないか」「見積もりと実際の請求額が大きく異なるのではないか」といった不安です。
当事務所では、お客様が安心してご相談いただけるよう、費用を事前に明確に提示する明朗な料金体系を採用しています。相続税申告の報酬は、一般的に遺産総額に応じて決まります。当事務所では、遺産総額に基づく報酬表を明示しており、追加費用が発生する場合も、事前にご説明します。
例えば、土地の評価が複雑で現地調査に時間がかかる場合、相続人が多数いる場合、申告期限まで時間がなく急ぎの対応が必要な場合などは、追加料金が発生することがあります。しかし、これらも事前にお伝えし、ご了解いただいた上で進めますので、後から予想外の請求が来ることはありません。
さらに、初回の面談や相談は無料で承っており、税務に関する様々なお悩みや相続税の簡易計算まで無料でお答えできます。初回相談を無料で活用することで、お客様は不安を解消し、次の対策へ踏み出すことができます。
「まず相談してみる」というハードルを下げることで、早期の対策が可能になります。問題が深刻化してから相談するのではなく、早い段階で専門家のアドバイスを受けることで、より多くの選択肢と、より効果的な対策が可能になります。
4.生前対策・事業承継への対応—未来を見据えたサポート
相続税の申告だけでなく、将来を見据えた対策も、スムーズな資産承継には欠かせません。生前対策と事業承継について、専門家がどのようにサポートするかを解説します。
早めの生前対策による節税効果—未来への投資
早めの生前対策は、大きな節税効果が具体的に期待できます。相続が発生してからできる対策には限界がありますが、生前であれば、時間をかけて計画的に節税対策を講じることができます。
生前贈与は、最も基本的な生前対策です。毎年110万円までの贈与には贈与税がかかりません(暦年贈与の基礎控除)。この非課税枠を活用して、毎年少しずつ財産を移転していくことで、将来の相続財産を減らし、相続税を節税できます。
ただし、令和5年度税制改正により、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算されることになりました(従来は3年以内)。したがって、できるだけ早く、長期にわたって贈与を続けることが重要です。
生前贈与計画を成功させるためには、贈与税の知識が不可欠です。贈与のタイミングや金額、贈与する相手、贈与する財産の種類などを適切に選択することで、節税効果を最大化できます。
例えば、将来値上がりが期待される財産は、早めに贈与することで、値上がり分に対する相続税を節税できます。また、収益を生む財産(賃貸不動産など)を贈与することで、その後の収益は受贈者に帰属し、贈与者の財産が増えることを防げます。
贈与のタイミングも重要です。不動産であれば、市場価格が低い時期に贈与することで、贈与税を抑えられます。株式であれば、株価が低い時期に贈与することで、同じ効果が得られます。
お客様からは、「節税のポイントや贈与のタイミングまで詳しく教えていただき、早めに動く大切さを実感しました」という声が寄せられており、家族全員が納得できる計画立案をサポートします。
生前対策は、家族全員で話し合い、理解し、協力することが重要です。「なぜこのような対策をするのか」「将来どのような効果があるのか」を家族全員が理解していれば、スムーズに実行できます。専門家は、こうした家族会議の進行役としても機能します。
遺言書作成を通じた「揉めない相続」の実現—想いを形に
揉めない相続を実現するための遺言書作成サポートも、スムーズな資産承継には重要です。遺言書がない場合、遺産分割協議で相続人全員の合意が必要となり、意見の対立があると、相続が長期化したり、家族関係が悪化したりするリスクがあります。
遺言書があれば、被相続人の意思に従って遺産を分けることができ、遺産分割協議が不要または簡素化されます。特に、特定の相続人に多く遺産を渡したい場合、相続人以外の人(例えば孫や事実婚のパートナー)に遺産を渡したい場合などは、遺言書が不可欠です。
専門家は、ご家族の想いをしっかりと形に残すため、法的に有効な遺言書の条件についてアドバイスし、家族に安心を残せる内容になるよう支援いたします。
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、最も確実なのは公正証書遺言です。公証役場で公証人が作成するため、形式的な不備がなく、原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。
遺言書の内容を決める際には、法定相続人の遺留分に配慮する必要があります。遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された最低限の相続分です。遺言書で遺留分を侵害する内容にすると、後で遺留分侵害額請求をされる可能性があります。
専門家は、遺留分に配慮しつつ、被相続人の意思を最大限実現できる遺言書の内容を提案します。また、遺言執行者を指定することで、遺言の内容がスムーズに実行されるようサポートします。
遺言書の作成は、遺産の方向性を定める上で大きな役割を果たします。「誰に何を渡したいか」を明確にすることで、相続が円滑に進み、家族の争いを防ぐことができるのです。
事業承継への丁寧な支援—会社を次世代へつなぐ
法人経営者様の場合、経営の想いを大切にした事業承継の進め方が求められます。事業承継は、単に会社の株式を移転するだけでなく、経営権、経営理念、取引先との関係、従業員との信頼関係など、目に見えない価値も引き継ぐ必要があります。
経験豊富な専門家は、円滑で将来を見据えた引き継ぎのための丁寧な支援を行い、事業承継における最適な解決策を提案します。
事業承継には、親族内承継、従業員承継、M&A(第三者への売却)など、いくつかの選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、会社の状況や後継者の有無によって、最適な方法を選択します。
親族内承継の場合、自社株の評価額が高いと、多額の相続税や贈与税が発生します。事業承継税制を活用することで、一定の要件のもと、相続税や贈与税の納税が猶予・免除されます。この制度を適切に活用することが、円滑な事業承継の鍵となります。
また、後継者の育成、経営権の段階的な移転、役員構成の見直し、定款の整備など、長期的な計画に基づいて進める必要があります。専門家は、これら一連のプロセスをサポートし、経営者が安心して会社を次世代に引き継げるよう支援します。
事業承継の不安を、安心へ変えるお手伝いをいたします。「会社をどうやって引き継げばいいのか分からない」「後継者はいるが、税金が心配」「従業員や取引先への影響が心配」といった様々な不安に対して、具体的な解決策を提示します。
次の世代へ「想い」と「資産」をつなぐために
相続税申告は、単なる税務手続きではなく、次の世代へ大切な資産と、ご家族の想いをつなぐ重要なプロセスです。被相続人が一生をかけて築いた財産を、適切に、そして円満に次世代へ引き継ぐ。それは、残された家族への最後の贈り物とも言えます。
経験豊富な税理士によるスムーズな申告の流れに乗ることで、お客様は複雑な手続きから解放され、最適な税額計算と正確な申告を実現できます。現地調査に基づく正確な財産評価、適用可能な特例の最大限の活用、そして税理士・弁護士・司法書士が連携するワンストップのサポート体制が、このスムーズさを保証します。
「初めての相続で何もわからず不安でしたが、担当の税理士さんが丁寧に説明してくださり、安心して手続きを進めることができました」というお客様の声のように、私たちは専門的な知識と豊富な経験をもとに、お客様の不安を少しでも軽くできるよう、誠実にサポートいたします。
相続は、人生で何度も経験するものではありません。だからこそ、最初から経験豊富な専門家に相談することが重要です。後で「あのとき相談していれば」と後悔しないためにも、早めの相談をお勧めします。
相続・事業承継に関するあらゆるお悩みに対応し、名古屋を中心に地域に密着した柔軟な対応を行っておりますので、ご不安な点や「何から始めたらよいかわからない」という場合も、まずは初回無料相談をご活用ください。
初回相談では、お客様の状況を詳しくお伺いし、今後の流れや必要な対策について、分かりやすくご説明いたします。相談したからといって、必ず契約しなければならないということはありません。まずは話を聞いてみて、納得できたら次へ進む。それで十分です。
安心して資産を受け継げる体制を整えるための準備を、今すぐ始めましょう。相続は突然やってきます。その時に慌てないためにも、元気なうちに、余裕のあるうちに、将来に備えることが大切です。
私たちは、お客様の大切な財産を守り、ご家族の絆を守り、次の世代へ想いをつなぐお手伝いをいたします。相続という人生の大きな節目を、私たちと一緒に乗り越えましょう。お客様の不安を安心に変え、円満な相続を実現することが、私たちの使命です。
ご相談をお待ちしております。
