私たちは地域活性化プロジェクトを応援しています。

相続税と名古屋の負債の調べ方を比較し債務控除に備える

マイナスの財産は、探しにいかないと出てきません

相続財産の調査というと、預金や不動産を数える作業だと思われがちです。ですが実は、見落として困るのは債務のほうです。

「父に借金があったかどうか、はっきりしない」「毎月の引き落としが何なのか分からない」「保証人になっていたと聞いたが証拠がない」。名古屋でご相談を受けていると、こうした声をよく耳にします。マイナスの財産は、通帳にまとまって書いてあるわけではありません。探しにいかなければ、四十九日を過ぎた頃に督促状として現れます。

しかも債務は、相続税の計算では課税価格から差し引ける「債務控除」の対象になります。見つけられなければ税金の面でも損をしかねません。この記事では、負債の調べ方をいくつか比べながら、控除の対象になるものとならないものの線引きまで整理します。

【この記事のポイント】

負債の調査には、郵便物や通帳を手がかりにする方法、信用情報機関へ開示を請求する方法、登記事項証明書や確定申告書の控えから逆算する方法があります。それぞれ分かることが違うため、組み合わせて使うのが基本です。見つけた債務がすべて相続税で引けるわけではない点にも注意が必要です。債務控除の対象は、相続開始時に現に存し、確実と認められる債務。墓地など非課税財産に関する債務や、原則として保証債務は対象外です。葬式費用は控除できますが、香典返しや法要の費用は対象外とされています。3か月、4か月、10か月という3つの期限を意識しながら、調査と判断を並走させてください。

今日のおさらい:要点3つ

  • 調べ方は一つではない。郵便物・通帳・信用情報機関・登記事項証明書・確定申告書の控えを組み合わせると、抜けが減ります。
  • 債務控除の対象は「確実と認められる債務」と葬式費用。団体信用生命保険で消える住宅ローンや、原則として保証債務は引けません。
  • 調査は3か月の熟慮期間と並走させる。準確定申告は4か月、相続税の申告期限は10か月と、時計は同時に動いています。

この記事の結論

一言でいうと、債務の調査は「早く、複数の方法で」が鉄則です。最も重要なのは、承認か放棄かを決める3か月の期限までに、おおよその輪郭をつかんでおくこと。輪郭さえ見えれば、後から細部が判明しても対応できます。ケースによりますが、故人が事業を営んでいた、不動産を複数持っていた、家族に金銭のことを話さない方だった、という場合ほど、調査に時間をかける価値があります。

マイナスの財産は、どこを見れば見つかるのか

まずは調査の入口を、手軽な順に比べていきます。

郵便物と通帳——手元から始める

いちばん早いのは、故人宛の郵便物を一定期間ためて確認することです。請求書、督促状、契約更新の案内、残高のお知らせ。金融機関や貸金業者からの通知は、月をまたぐと届くものもあるため、数か月は注意して見ておきたいところです。

次に通帳です。毎月同じ日に同じ金額が引き落とされていれば、返済の可能性があります。逆に、まとまった金額が入金されていれば、借入だったかもしれません。過去の履歴をさかのぼると、家族が知らなかった取引が見えてくることがあります。

この方法の利点は、費用がかからず今日から始められること。弱点は、書面のやりとりをしていない債務や、引き落としのない債務を拾えないことです。手元の資料だけで「なかった」と結論づけるのは危険だと考えてください。

信用情報機関への開示請求——網をかける

そこで有効なのが、信用情報機関への開示請求です。銀行系を扱う全国銀行個人信用情報センター、クレジット・信販系を扱う機関、消費者金融系を扱う機関と、大きく3つの系統に分かれています。

正直なところ、ここを押さえずに「借金はなかった」と判断するのは心もとありません。相続人であることを示す戸籍などをそろえれば、故人の情報の開示を請求できます。手数料や必要書類、請求の方法は機関ごとに異なり、見直されることもあるため、各機関の案内を必ず確認してください。

強みは、貸金業者や金融機関からの借入を一度に把握できること。弱みは、そこに加盟していない相手からの借入、たとえば個人間の貸し借りや取引先への未払金は載らないことです。網は広いけれど、目からこぼれるものもあります。

登記事項証明書と確定申告書の控え——逆から探す

不動産をお持ちだった場合は、法務局で登記事項証明書を取得してみてください。抵当権や根抵当権が設定されていれば、その債権者と極度額から借入の存在をたどれます。すでに完済していても抹消登記をしていないことがあるため、記載があるだけで債務が残っているとは限りません。

故人が事業をしていたなら、確定申告書の控えや決算書も有力な手がかりです。借入金、買掛金、未払金といった項目に、家族が知らなかった債務が並んでいることがあります。顧問税理士がいた場合は、その方に照会するのが確実です。

このやり方は、財産の側から債務をあぶり出す発想です。手間はかかりますが、事業や不動産が絡む相続では効果が大きいと実感しています。

表に出にくい保証債務と、名古屋のある家庭の場面から

よくあるのが、保証債務の見落としです。保証は、契約書が金融機関と保証人の手元にしかなく、返済が滞るまで表面化しません。故人が経営者だった場合、会社の借入の連帯保証人になっているケースは珍しくありません。取引先や金融機関に確認する、契約書の控えを探すといった地道な確認が要ります。

実は、ここで判断に迷う方が多いのです。名古屋市内で長く小売業を営んでいたお父さまが亡くなり、通帳と郵便物からは目立った借入が見つからなかった。ところが数か月後、会社の借入について保証を求める通知が届いた——そんなご相談があります。「調べたつもりだった」というご家族の心の声を聞くたびに、調査は複数の角度から行うものだと痛感します。

見つけた債務が、相続税で引けるかを見分ける

調べた債務は、そのまま全部引けるわけではありません。ここで線引きを確認します。

引けるもの

債務控除の対象は、相続開始の際に現に存する債務で、確実と認められるものです。代表例は、金融機関からの借入金、事業上の買掛金や未払金、故人の入院・治療にかかった未払医療費、未払の水道光熱費などです。

税金では、亡くなった年分の所得税や住民税、固定資産税のうち、まだ納めていない分が対象になります。賃貸物件を持っていた場合、入居者から預かっている敷金や保証金も債務として扱われます。

つまずきやすいのは、亡くなった後に届いた請求書の扱いです。相続開始の時点で発生していた分かどうかで判断が分かれます。請求書の日付ではなく、いつの期間の分かを確認してください。

引けないもの

一方、引けないものもはっきりしています。墓地や仏壇といった相続税の非課税財産を取得・維持するための債務は対象外です。生前に墓地を購入して代金が未払いのままだった場合、その未払金は控除できません。

住宅ローンも要注意です。団体信用生命保険が付いていれば、死亡によって保険金で完済されるため、債務として残りません。したがって控除の対象になりません。

保証債務も、原則として確実な債務とはいえないため対象外です。ただし、主たる債務者が弁済不能の状態にあり、保証人が肩代わりせざるを得ず、しかも本人へ求償しても回収の見込みがないと認められる部分については、控除できる余地があるとされています。判断が難しい領域ですので、必ず専門家に相談してください。

このほか、遺言の執行にかかる費用や、相続手続きを依頼した専門家への報酬は、相続開始後に生じるものとして控除の対象になりません。

葬式費用の線引き

葬式費用は、債務ではありませんが控除が認められています。通夜と告別式の費用、火葬・埋葬・納骨の費用、遺体の運搬費用、お寺へのお布施や戒名料、通常必要と認められる心付けなどが該当します。

反対に、香典返しの費用、初七日や四十九日といった法要の費用、墓碑や墓地の購入費、遺体の解剖にかかる費用などは対象外とされています。葬儀社の請求書に法要分が含まれていることもあるため、内訳を分けて記録しておくと後が楽です。領収書が出ないお布施は、金額と日付、渡した相手をメモに残しておいてください。

調査と期限を、どう並走させるか

最後に、時間の使い方の話です。

3つの時計を同時に見る

相続では、期限が並行して進みます。承認するか放棄するかを決める熟慮期間は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月。故人の所得税の準確定申告は4か月。相続税の申告と納付は、相続開始を知った日の翌日から10か月です。

債務の調査は、まず3か月に間に合わせる意識で進めます。全体像が見えないまま期限が迫るなら、期間内に家庭裁判所へ伸長を申し立てる方法もあります。放棄も限定承認も選ばずに3か月が過ぎると、原則として単純承認したものと扱われます。

誰が引けるのか

債務控除を使えるのは、相続や遺贈で財産を取得した相続人や包括受遺者です。相続放棄をした人は債務を承継しないため、債務控除の適用はありません。ただし、実際に葬式費用を負担していれば、その分は控除できるとされています。

遺産分割が10か月の期限までにまとまらない場合、債務を誰が引き継ぐか確定していないこともあります。その場合の按分の考え方など、実務の取扱いは事案により異なります。制度は改正されることもあるため、最新の要件は国税庁の公表資料を確認するか、税理士にご相談ください。

よくある質問

Q1. 借金があるかどうか、どこで調べられますか?

郵便物と通帳の確認に加え、銀行系・信販系・消費者金融系の信用情報機関へ開示を請求する方法があります。組み合わせて確認してください。

Q2. 住宅ローンは債務控除できますか?

団体信用生命保険が付いていれば保険金で完済されるため、控除できません。保険が付いていない場合は控除の対象になり得ます。

Q3. 連帯保証人になっていた分は引けますか?

原則として引けません。主たる債務者が弁済不能で求償の見込みがない部分について、例外的に認められる余地があります。判断は専門家へご確認を。

Q4. お布施は領収書がなくても控除できますか?

金額・日付・相手先を記録しておけば、葬式費用として認められるのが一般的です。記録は必ず残してください。

Q5. 香典返しは葬式費用に入りますか?

入りません。初七日や四十九日の法要費用、墓碑や墓地の購入費も対象外とされています。内訳を分けて管理してください。

Q6. 亡くなった後に届いた請求書は控除できますか?

相続開始時点で発生していた期間の分であれば対象になり得ます。請求書の日付ではなく、対象期間で判断します。

Q7. 債務が多いと相続税は必ずゼロになりますか?

そうとは限りません。財産から債務と葬式費用を引いた額が、3,000万円+600万円×法定相続人の数を超えるかどうかで判断します。

Q8. 誰に相談すればよいですか?

調査、承認の判断、申告と論点が続きます。名古屋の相続に強い税理士など、全体を見渡せる専門家に早めに相談すると安心です。

まとめ

負債の調査は、一つの方法では足りません。郵便物と通帳で当たりをつけ、信用情報機関で網をかけ、登記事項証明書や確定申告書の控えで裏を取る。この重ね方が、見落としを減らす最も現実的なやり方です。

そして、見つけた債務がすべて引けるわけではないこと。団体信用生命保険付きの住宅ローンや保証債務、墓地に関する未払金、法要の費用は原則として対象外です。ここを取り違えると、申告のやり直しにつながります。

まずは財産と債務を一覧にして、全体像を見える化するところから始めてください。3か月の期限が近づいているようなら、その時点で名古屋の相続に強い専門家へ相談を。早く動くほど、選べる道は多く残ります。