私たちは地域活性化プロジェクトを応援しています。

名古屋で相続が発生したら何から始める?最初の1か月にやること

最初の1か月は「順番」で決まる。慌てて動くほど遠回りになる

相続手続きは、やる気より段取りです。正直なところ、悲しみのさなかに完璧な判断はできません。だからこそ、先にやるべきことだけを順番に並べておくことが助けになります。

「葬儀が終わったけれど、次に何をすればいいのか分からない」「役所から書類が届いたが、どれが急ぎなのか判断できない」「銀行に連絡したら口座が止まってしまった」。名古屋でご相談を受けていると、最初の1か月でこうした戸惑いが集中します。

期限のある手続きは、実は最初の2週間に固まっています。そこを外さなければ、あとは落ち着いて進められます。この記事では、亡くなった直後から1か月までを3つの区切りに分け、いつ・どこで・何をするのかを整理します。読み終えたときに、明日から動く順番が見えている状態を目指します。

【この記事のポイント】

相続が発生してからの最初の1か月は、「期限が短い役所の手続き」と「あとの判断材料をそろえる準備」の2種類が同時に走ります。死亡届は7日以内、健康保険や世帯主変更などは14日以内と、日数で区切られたものが前半に集中します。後半は、遺言書があるかどうかの確認、相続人の確定、財産の洗い出しという「土台づくり」の時期です。ここで作った土台が、そのあとの遺産分割協議、相続放棄の判断(3か月)、準確定申告(4か月)、相続税申告(10か月)すべての前提になります。順番を意識するだけで、やり直しと無駄足がぐっと減ります。

今日のおさらい:要点3つ

  • 日数で区切られた手続きは前半に集中する。死亡届は7日以内、健康保険・介護保険・世帯主変更は14日以内、年金の受給停止は厚生年金10日以内・国民年金14日以内が目安です。
  • 1か月目の主役は「遺言書の有無」「相続人」「財産」の3点確認。この3つが決まらないと、分け方も税額も動きません。
  • 後ろの期限から逆算する習慣をつける。相続放棄は3か月、準確定申告は4か月、相続税申告は10か月。1か月目のうちにカレンダーへ書き込んでおくと安心です。

この記事の結論

一言でいうと、最初の1か月は「急ぐもの」と「そろえるもの」を分けて動く月です。最も重要なのは、役所の短い期限を落とさないこと、そして遺言書・相続人・財産という3つの土台を1か月以内に見える化しておくこと。この2つができていれば、そのあとの話し合いや申告は驚くほどスムーズになります。ケースによりますが、不動産がある、相続人が離れて住んでいる、といった場合ほど土台づくりに時間がかかるため、早めの着手が効いてきます。

前半2週間:日数で区切られた手続きを落とさない

期限が短いものから片づけます。ここは判断より作業と割り切ってかまいません。

7日以内にすること

死亡届は、亡くなったことを知った日から7日以内に提出します。提出先は、亡くなった方の本籍地、届出人の所在地、亡くなった場所のいずれかの市区町村です。名古屋市内であれば、区役所や支所の窓口が受付になります。

死亡届と一緒に「死体火葬許可申請」を行い、火葬許可証の交付を受けます。実務上は葬儀社が代行してくれることがほとんどですので、まずは葬儀社に確認してみてください。ここで気をつけたいのが、死亡診断書のコピーです。原本は死亡届と一体で提出してしまうため、あとから保険金の請求や各種手続きで必要になったときに困ります。提出前に数枚コピーを取っておくと、後々の手間が減ります。

14日以内にすること

2週間以内の期限がまとまってやってきます。国民健康保険や後期高齢者医療の資格喪失、介護保険の資格喪失は14日以内が目安です。世帯主が亡くなり、残された世帯員が2人以上いる場合は、世帯主変更届も14日以内に提出します。

年金は種類で日数が違います。厚生年金の受給停止は10日以内、国民年金は14日以内が目安です。うっかり受け取り続けると、あとで返還を求められることがあります。実は、この「もらいすぎ」の返還手続きが後々の負担になるケースが少なくありません。

あわせて、未支給年金の請求ができる場合もあります。年金は後払いのため、亡くなった月の分などが未払いで残っていることがあるためです。生計を同じくしていた遺族が請求できますが、要件の詳細は年金事務所で確認してください。

名古屋のある家庭の場面から

名古屋市内で暮らしていた70代のお父さまが亡くなり、離れて住む長女が手続きを担当することになった。そんな場面を考えてみます。

葬儀の直後は連絡や来客の対応で手いっぱいで、気づけば2週間が過ぎていた。健康保険証を返していない、世帯主変更も済んでいない。「あれもこれも遅れている」と焦って窓口に走る——これはとてもよくある流れです。

「もっと早く一覧にしておけばよかった」というお声を、私たちも何度も伺ってきました。おすすめしたいのは、葬儀が一段落した時点で紙に手続きを書き出し、済んだものに印をつけていく方法です。名古屋市では、区役所の窓口で必要な手続きの案内を受けられる場合がありますので、まとめて相談してみるのも一つの手です。

後半2週間:遺言書・相続人・財産の3点をそろえる

ここからが本番です。急ぎではありませんが、あとの全部がここに乗ります。

最初に確かめるのは遺言書の有無

分け方の前提が変わるため、遺言書の確認は真っ先に行います。探す場所は3つです。自宅の金庫や仏壇まわり、法務局、公証役場。

公正証書遺言があるかどうかは、公証役場の検索システムで全国分を調べられます。自筆証書遺言については、2020年7月10日から始まった法務局の保管制度を使っていれば、遺言書保管事実証明書の交付を請求して確認できます。

自宅で自筆の遺言書が見つかった場合は、原則として家庭裁判所の検認が必要です。よくあるのが、その場で封を開けてしまう失敗です。封印のある遺言書を勝手に開けると過料の対象になり得ますので、見つけたらそのままの状態で家庭裁判所に持ち込んでください。なお、法務局の保管制度を利用していた遺言書は検認が不要です。

相続人と財産の「たたき台」を作る

相続人の確定には、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍が必要です。転籍や婚姻で本籍が動いていると、複数の自治体に請求することになり、そろうまでに数週間かかることもあります。1か月目のうちに着手しておきたい理由がここにあります。

財産のほうは、まず郵便物と通帳から入るのが実務的です。金融機関からの通知、証券会社の取引報告書、固定資産税の納税通知書。これらが手がかりになります。不動産の見落としを防ぐには、市区町村が備える名寄帳(固定資産課税台帳)の写しを取る方法が有効です。名古屋市であれば市税事務所で請求できます。私道やごく小さな持分は納税通知書に載らないこともあるため、名寄帳での確認が効いてきます。

この段階では正確な金額まで詰めなくてかまいません。「どこに何がありそうか」の一覧ができれば十分です。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数ですから、たたき台の合計がこの水準に届きそうかどうかで、申告の要否をおおまかに見立てられます。

預貯金の凍結と当面の資金

金融機関が亡くなったことを把握すると、その口座は凍結されます。公共料金の引き落としも止まりますので、名義変更や支払い方法の切り替えが必要になります。

葬儀費用や当面の生活費に困る場合には、2019年7月に始まった預貯金の仮払い制度があります。遺産分割前でも、相続開始時の預貯金額に3分の1とその相続人の法定相続分を掛けた額まで払い戻しを受けられ、同一の金融機関ごとに150万円が上限です。必要書類は金融機関によって異なりますので、事前に問い合わせてから動くと二度手間になりません。

1か月目に引いておきたい「逆算の線」

ここまでの作業と並行して、先の期限を頭に入れておきます。

3か月・4か月・10か月・3年

相続放棄や限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内が原則です。借金がありそうなら、この3か月が最大の勝負どころになります。

亡くなった方に事業所得や不動産所得があった、給与以外の収入があったといった場合は、準確定申告が必要になることがあります。期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。

相続税の申告と納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内。配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額まで)や小規模宅地等の特例は、原則として申告することで適用を受けられる仕組みですので、「税額がゼロになるから申告不要」と早合点しないよう注意が必要です。要件は年度によって変わり得ますので、国税庁の公表資料や税理士にご確認ください。

相続登記は2024年4月から義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内の登記が求められます。正当な理由なく怠ると過料の対象になり得ます。すぐに動く必要はありませんが、1か月目のうちに「いつまでに」を書き留めておくと忘れません。

迷ったら早めに相談する

ケースによりますが、不動産が複数ある、相続人に未成年者や認知症の方がいる、行方の分からない相続人がいる、といった事情があると、手続きは一段複雑になります。こうした場合は、1か月目のうちに専門家へ相談しておくほうが、結果的に時間も費用も抑えられることが多いものです。

正直なところ、「もう少し早く来ていれば選べた道があった」と感じる場面は少なくありません。相談は問題が起きてからではなく、全体像が見えないうちにこそ価値があります。

よくある質問

Q1. 葬儀の直後に、まず何をすればよいですか?

死亡届(7日以内)と火葬許可の手続きです。多くは葬儀社が代行します。あわせて死亡診断書のコピーを数枚取っておくと後が楽です。

Q2. 相続税がかかるかどうかは、いつ分かりますか?

財産のたたき台ができれば概算はつかめます。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数。超えそうなら早めに専門家へご相談ください。

Q3. 口座が凍結されて生活費に困っています。

仮払い制度が使えます。預貯金額の3分の1に法定相続分を掛けた額まで、金融機関ごとに150万円が上限です。書類は各行にご確認ください。

Q4. 遺言書が見つかりました。開けてよいですか?

封印のあるものは開けないでください。家庭裁判所の検認が原則必要です。法務局の保管制度を利用したものは検認が不要です。

Q5. 戸籍集めはどのくらい時間がかかりますか?

本籍の移動が多いと数週間かかることがあります。1か月目のうちに着手しておくと、あとの手続きが詰まりません。

Q6. 相続放棄を考えています。いつまでですか?

原則として、相続の開始を知った時から3か月以内です。財産の調査が終わらない場合、期間の伸長を家庭裁判所に申し立てる方法もあります。

Q7. 準確定申告は必ず必要ですか?

全員に必要なわけではありません。事業所得や不動産所得などがあった場合に必要となり、期限は4か月以内です。判断に迷えば税理士にご確認ください。

Q8. 1か月目に専門家へ相談するのは早すぎませんか?

早すぎることはありません。選べる方法が多く残っている時期です。名古屋の相続に強い税理士など、税と手続きの両面を見られる先が安心です。

まとめ

最初の1か月は、前半に「日数で区切られた役所の手続き」、後半に「遺言書・相続人・財産の3点確認」。この二段構えで進めれば、大きく外すことはありません。そして1か月目の終わりに、3か月・4か月・10か月・3年という先の期限をカレンダーへ書き込んでおく。それだけで、その後の見通しはずいぶん明るくなります。

とはいえ、財産の評価や特例の適用可否、分け方と税額の兼ね合いは、ご家族だけで判断しきれない部分が残ります。まずは手元の資料で全体像を見える化し、必要に応じて名古屋の相続に強い専門家へ相談してみてください。順番さえ間違えなければ、相続手続きは必ず前に進みます。